夫の不倫を夫の親兄弟に知らせてよいか?知らせることの問題点
最終更新日 2022年12月13日
これまで尽くしてきた旦那に浮気をされたら、許せないですよね。
浮気の証拠がある場合、旦那の両親や兄弟に浮気の事実を知らせる、という選択肢を取られる方もいらっしゃいます。
しかしその行動、もしかすると取り返しがつかないことになるかもしれません。
今回は夫の不倫を相手の両親に報告しても良いのか、相談する際の注意点についてご説明します。
夫が不倫をしたため、その腹いせに、又は、協力を得るために、夫の親兄弟に不倫の事実を知らせてやりたいというご相談が時折あります。
このように、夫の親兄弟に不倫の事実を知らせた場合、どのような問題が発生するのでしょうか。
起こりうる問題
名誉棄損
名誉棄損といえるには、その人の社会的評価が低下したといえなければなりません。
そうすると、夫の親兄弟に不倫の事実を知らせたところで、親兄弟が他人に自分の身内が不倫をしたなどと言い触らして多くの人が不倫の事実を知る可能性は少ないため、夫の社会的評価が下がったとは言いづらいでしょう。
ただし、親兄弟が不倫の事実をその家族に伝え、その家族から不倫の事実が様々な人に伝播していく可能性もゼロではありません。
そのため、親兄弟から夫の不倫が多くの人に知れ渡ってしまった場合は、名誉棄損により慰謝料の請求が認められる可能性があるかもしれません。
なお、慰謝料の金額は100万円を下回る低額なものになるケースが多いでしょう。
なお、名誉棄損にあたるといえる場合には、刑事事件に発展する可能性があります。
刑事事件に発展した場合、3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金(刑法230条1項)に科せられるおそれがあります。
プライバシー侵害
不倫をしたこともその人の重要な個人情報の一つといえるでしょうから、プライバシー侵害にあたる可能性があります。
もっとも、不倫を知ったのが夫の親族であれば、他人に知られた場合と比べて精神的苦痛の程度は低いといえるでしょう。
したがって、慰謝料を請求したとしても、認められる金額は数万円程度といった極めて低額なものにとどまるでしょう。
離婚
上記のように、慰謝料の支払いの責任が発生するおそれがあるだけではなく、夫が立腹して復縁をすることが難しくなってしまうでしょう。
一時的な感情で親族等に不倫を言い触らしてしまうと、結婚生活を続けるのが難しくなってしまいます。
夫が不倫をしたため、腹いせをしてやろうという気持ちは分かりますが、夫と離婚をしたくないと考えているのであれば、夫の親兄弟であれ不倫の事実を伝えるのは止めた方がよいでしょう。
推奨する相談相手
相手を許せない気持ちはわかります。
しかし手段や順番を間違えると、上記のようにかえって自身が不利になってしまう場合があります。
そのため、勢いのまま自身・旦那の両親や兄弟には相談せず、まずは友人や弁護士などといった、身内以外の人に相談しましょう。
熱くなる気持ちを抑え、現状を整理するように話せば次のアクションが具体的になるため、冷静に行動することができるようになります。