最終更新日 2022年5月10日
ご相談
Xさん(30代・女性・会社員)は、夫のY(40代・男性・会社員)と離婚後、Yから、Xさんが監護する1歳の子との面会交流の実施を申し入れられました。
しかしながら、子が幼い本件で面会交流を実施するためには、通常、Xさんの立会が必要であるところ、主としてYのモラハラが理由で離婚を決意したXさんとしては、Yと子との面会交流に立ち会うことは大きな苦痛であり、また、本件では、離婚紛争が本格化したため出生後離婚成立までの間に子がYと面会したことはなく、その間、Yから面会交流を求められたことも一度もなかったという事情もあり、Xさんとしては、Yの要望が果たして真に子への愛情からくるものであるのか図りかねる面がありました。
その中で自身が苦痛に耐えて面会交流を実施しても、Yの態度によって数度面会したきりでYと子との関係が断絶するようなことになると、かえって子の福祉に反する事態となるのではないかという不安を有していたことから、Xさんは、対応に困り、当事務所に相談に訪れました。
当事務所の活動
本件ではYが子に対してDVや虐待をしたなどの面会交流の実施を制限・禁止すべき事情がないため、現在の裁判所の採用する考え方に基づけば、本件事案においてYの面会交流の求めを拒むことは難しい事案でした。
もっとも、Yと子との関係が全くと言っていいほど構築されていない本件で、直接的な面会交流の実施をやみくもに取り決め、実施することは、Xさんが想定するような子の福祉に反する事態が生じることにもつながりかねないおそれもありました。
そこで、当事務所は、仮に取決めをするとしても、子の意思や子の様子にも配慮しながら、できる限り子にとって負担の少ないやり方で段階的に交流を実施していくことができるような取決めをするのが良いと考え、Xさんに対し、当面の間は、子の写真を提供する等の間接的な方法によってYと子との関係構築を図ることに主眼を置く内容の調整をYに求めるようアドバイスしました。
しかしながら、Yが応じず、面会交流調停を申し立ててきたことから、当事務所は、調停にご自身で対応されるXさんに対して引き続きサポートを続けることとしました。
ただ、裁判所で面会交流について議論をする場合に、面会交流の実施を拒む趣旨の主張をやみくもに行ってしまうと、Yのみならず調停委員からも理解が得られず、結果としてXさんにとって不利な内容の取決めが決まってしまうということにもなりかねません。
そのことから、当事務所は、Xさんに対し、Xさんが感情的にYと子との面会交流を妨げる主張をしているわけではないことを調停委員に理解してもらうような説明をするよう助言し、特に、今回の事案では、本件に存する前記の事情から、まずは子にとって負担の少ない方法で子とYとの関係構築を図りながら交流を始めていく必要があることを具体的に説明・説得してもらうようアドバイスを続けました。
活動の結果
当事務所のアドバイスを踏まえた調停委員への説明や調停委員を介したYへの説得が功を奏し、最終的に、当面の間は、年に数回子の写真を提供するなどの間接的な方法による面会交流を継続し、直接的な面会交流の実施はその結果を踏まえ、相当期間経過後に、再度実施について協議することを内容とするXさんにとって有利な内容で面会交流調停が成立するに至りました。
解決のポイント
面会交流に関する紛争は、子の福祉の観点からあり方が検討されるため、夫に面会交流を制限・禁止すべき事情がない限り、夫に有利な結論が出やすい類型の紛争といえますが、当事務所の有する豊富なノウハウを基にした適切な主張立証を行うことで、間接的な方法によって面会交流を行うことを内容とする事案のような結論を得ることも可能ですので、同じようなお悩みをお持ちの方は是非ご相談ください。