モラハラの慰謝料の相場

モラハラの慰謝料の相場

具体的には,精神的な暴力や嫌がらせをされることです。
最近,テレビなどでもよく聞くようになったモラルハラスメントですが,その慰謝料の相場はどの程度なのでしょうか。
あくまでも慰謝料は,個別的なケースによって金額が異なってきますが,裁判例をいくつか検討してみましょう。
裁判例
東京地裁平成17年2月22日
婚姻期間が10年以上の夫婦において,妻が自己本位な態度を取ったとして,慰謝料80万円が認められています。
この裁判例では,
- 妻が頻繁に深夜までダンスホールに入り浸り出費を重ねるという度を超した遊興生活をしたこと
- 夫から注意を受けても反省の態度を示さず反感を抱き子供を連れて長期間別居をしたこと
- 夫と話し合いをする機会を持つ努力をせず,時々の自己の感情の赴くまま身勝手な行動をし,夫が相当程度の心労を被ったこと
が考慮されています。
東京地裁平成16年12月10日
婚姻期間が20年以上の夫婦において,夫が妻に対する思いやりがなかったとして,慰謝料100万円が認められています。
この裁判例では,
- 夫は家族が食べ物を勝手に食べたといった些細なことで何度も激怒したこと
- 夫が約4100万円も借金をするなど金銭面でのルーズさ
- 時折見せる威圧的な態度や暴言
により,もっぱら夫に離婚原因があると認めています。
東京地裁平成17年11月11日
婚姻期間が30年以上の夫婦において,夫が高圧的な振る舞いをしたとして,慰謝料200万円を認めたものがあります。
この裁判例では,
- 夫が家族に対して明確な上下関係,主従の関係を強いてきたことが婚姻関係の破綻を招いた主たる要因であること
- 別居までの32年間という長期間であったものの重篤な傷害を与えるほどの暴力行為は認められないこと
が考慮されています。
東京地裁平成17年3月8日
婚姻期間が10年以上の夫婦において,夫の妻に対する心ない発言などによって精神的苦痛を被ったというケースで,慰謝料250万円を認めたものがあります。
この裁判例においては,
- 夫は,妻が過換気症候群その他のストレス性の身体的症状で苦しんでいるのに対し「おまえは頭がおかしい。」,「何でそんなに医者ばかりにかかるんだ」と非難し,時には実力で通院を妨害しようとさえしたこと
- 夫は,妻に少額の生活費しか渡さなかったにもかかわらず,妻の少額の支出にまで細かく干渉したこと
- 夫が長男に暴行を加えたり,金を全部よこせといった心ない発言を繰り返したりしたこと
から夫の配慮に欠けた態度,威圧的かつ粗暴な言動にあったものというべきとしています。
また,その後の事情として,
- 妻の健康保険被保険者証の送付を約7か月拒否したこと
- 妻の私物の引渡しを拒否していることは妻に対する嫌がらせであるという点
も考慮されています。
これらの裁判例をみてみると,婚姻期間が長ければ,慰謝料の金額は高額になりやすく,また言動の内容等によっては,大幅に慰謝料の金額が増額されるようです。
まとめ
裁判例では,100万円前後の慰謝料が認められるケースが多いようです。
ただ,婚姻関係への影響,行為の悪質さなどについてしっかり主張立証すれば,高額な慰謝料が認められることもあります。
当事務所は,そうした主張立証について豊富なノウハウがありますので,まずは一度ご相談ください。